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 部活を終え、日もとうに沈みきっている。春分の日も過ぎたので日が長くなってきているのだろう、少しずつ部活中の空が変わってきているのがわかる。

「あ。」

 そんな帰り道。
 山本は視界の端に入ったソレに反応し、足を止めた。少しばかり寄り道をしようと思い、普段通らないショッピングモールを通ったのだ。
 見かけたのはただのブレスレット。
本物か偽物かはわからないがシルバーのものだ。そういったものに興味は特に無いためいつもなら素通りするのだが、山本はそのデザインに惹かれた。あまり派手すぎず、だが地味すぎず。シルバーの髑髏がついているだけのシンプルなもの。

「そういや……獄寺ってこういうの好きだよな…」

 指輪やネックレスやブレスレット、それにチェーン。いわゆるシルバーアクセというものを彼は好んでつけている。そんな彼が先日、ツナも含めて3人で遊びに街へと出かけた際に一瞬何かに反応していたのだ。おそらくツナは気付かないほどの一瞬だが、山本は気付いていた。とある店のとある商品に彼が目を惹かれていたことを。
 店の中に入り、そのブレスレットを手に取る。値札を見ると結構な値段だった。とても今の小遣いじゃ手が出せないほど。0が1つ減ってくれればまだ買えなくもないのだが……

「お気に召されました?」

 そんな折、突然声がかかる。何事かと思い振り向くと、そこにいたのはショップの店員だった。アクセサリーの店の店員だけあってネックレスやブレスレットなどをつけているが、派手にならないよう選んでつけているのか違和感は無い。

「お目が高いですね。そちらの品は先日仕入れたばかりなんですよ。」
「あ~、だから高いんですか?」
「ふふっ、そうですね。ブランド物でもありますから。似たようなデザインで安めのものでしたら……」

 こちらなどいかがですか?と言いながら、店員は別のブレスレットを山本に見せてくれた。先程のとほとんどデザインは変わらないが、さりげない光沢などが違う。どうやら向こうは本物のシルバーで、こちらは偽物のシルバーなのだろう。安めと言ってくれた通り、今の山本の小遣いでも十分手が出せるくらいだ。

「じゃあ……それ、いただけますか?」
「はい、ありがとうございます!!」

 一礼した店員は商品を持ってレジの方へと向かう。それについていくように山本もレジへと向かった。そしてカバンから財布を取り出す。

「リボンはどちらにされますか?」
「え?」
「大事な方へのプレゼントなのでしょう?」

 彼女へのプレゼントと思われているらしい。あげたいと思っている相手は彼女では無いが…確かに大事なヤツだ。友達・仲間、そういった意味以上に大事だと思える相手だ。




 山本は悩むことなく青のリボンを選んだ。






 次の日の朝、山本はそれを獄寺に渡した。「いらねぇ」「安モンじゃねぇか」と反発してきたが獄寺はちゃんと受け取ってくれた。


 嫌々言いながらも、その日から獄寺の左の手首には山本があげたブレスレットがつけられているのは確かな事実だ。


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前編はこちら



ちょっぴり幸せな昼休みの後には、再び退屈な授業が待っていた。
相も変わらず俺は、ノートに日記を綴っている。
誰にも読まれはしないのだから、何を書いてもいい。
そう、昼休みのちょっぴり幸せな時間も。

(あーあ、早く授業終わんねぇかな…)

授業はまだ半分も過ぎていない。
担当の教師が、黒板を白い字で埋め尽くしていく。
ふと振り返れば、山本の姿が目に入った。
顔が見えないところを見ると、どうやら寝ているらしい。

(またテスト赤点じゃねぇだろうな。)

テスト前になったら一緒に勉強会をすることになるんだろうな、とぼんやりと考える。
多分、場所はいつものところ。
そう、10代目の―――

「獄寺、この問題を解いてみろ。」

唐突に当てられ、思考を現実に引き戻される。
珍しい、この教師はいつも俺を当てるようなことなどしないのに。
そう思いながら、俺は立ち上がり、黒板に書かれた問題をすらすらと解きあげた。
何も難しいことのない、普通の問題。
そして、教師がそれに赤い丸をつけ、席に戻るよう指示されたときに。
それに、気付いた。

(あれ…?)

教壇から、クラスメイト達を眺める。
いつもの顔ぶれの中に、眠っている山本の姿が見えた。
視界の端に、俺の席。
そして、俺と山本の席の、ちょうど間に。



10代目が、いなかった。



(なんで…)

いるはずの10代目の代わりに、その席にはクラスメイトの一人が座っていた。
茶色の髪の毛の男子で、どことなく10代目に似ているような気もする。
名前は、なんだっけ…思い出せない。

「どうした獄寺。早く席に戻りなさい。」

教師の声が、後ろから聞こえる。
その声に俺は、ゆっくりと自分の席に戻る。
再び授業を始めた教師の声を聞きながら、俺は10代目の席を見つめた。

(そもそも、10代目って、誰だ?)

勉強会をするときは、いつも俺の部屋で山本と二人だったはずだ。
もう一人誰かがいたことなんて、あっただろうか。
いいや、なかったはずだ。

(日記にも、そんな名前は、ない。)

机の中から日記を取り出し、前のページをめくっていく。
その中には、山本や、今ここにいるクラスメイトの名前が出てくることはあっても、「10代目」という名前、単語は一切存在しなかった。

(10代目って、誰なんだ。)

俺の頭の中で、確かに存在するその言葉。
なのに、それは現実に存在しないもの。

(何かが、おかしい。)

時間が過ぎ、授業が終わって、帰る時間になるまで、俺はずっとそのことを考えていた。
でも、10代目が一体誰なのかは、全くわからなかった。





「獄寺、帰ろーぜ。」

帰る仕度が終わった山本が、俺に声をかける。
俺は、まだ頭の中で「10代目」のことをずっと考えていた。

「どうした、獄寺? 元気ないのな。」

「い、いや。なんでもねぇ。ほら、早く帰るぞ!」

鞄をひっつかみ、俺は教室を出る。
山本が、後ろに続いた。
そうだ、何も考えることはない。
日記にもないし、現実に存在もしない。
それはきっと、俺の思い過ごしだ。
夢の中にでも出てきた登場人物が、頭の中に残っていただけなのかもしれない。
そう考えると、少しは合点がいく気がする。

「獄寺、またこけるぞ?」

山本の声に、俺は足元を見る。
そこに落ちていたのは雑巾。
これを踏んでいれば、また朝のようにこけてしまうだろう。
本日3度目(おそらく)の悲劇を起こさずに済んだと安心すると同時に、その雑巾を放置した主が気になった。
見つけ出して、シメてやろうか。
なんて、思って雑巾を拾い上げて、持ち主の名前を、俺は見た。
そして、思考は、止まった。

「……? 獄寺、どうしたんだ?」

俺の手にある雑巾を、山本は横から覗き込む。
そして、そこに書かれている名前を、読み上げた。

「”沢田”…? 誰だ、これ。」

そう、書かれていたのは。

「…沢田、綱吉……ボンゴレ、10代目…」

それは、あの「10代目」の、名前だった。
今まで考えても何も出てこなかったのに、なぜか今ははっきりと頭の中に思い浮かぶ。
あの、忘れもしない存在を。
俺は、雑巾を放り投げ、駆け出した。

「おい、獄寺!」

山本の声が聞こえたが、俺はそのまま走った。
そして、下駄箱の前まで来ると、目的の名前があるかどうか確認する。
そう、「沢田綱吉」を。

「…あった…!」

確かに、そこには「沢田」と書かれた下駄箱が存在した。
クラスにはいなかった名前が、確かにそこに存在した。
夢じゃない。
確かに、「10代目」は存在していた。
だが、どうしてクラスにいない名前がここに?
山本も、知らないようだったのに。

「一体、何がどうなってやがる…」

思えば、朝からおかしいことばかりだった。
俺が10代目のことを考えるときに限って、なぜか邪魔が入っていた。
ぞうきんで滑って転び、その前は、下駄箱で靴紐を踏んで転んだ。
そういえば、今まで寝坊などしたことが無かったのに、今朝は寝坊した。
おかげで、朝ごはんはトースト一枚。
……トースト?
あの姉貴がまともな料理を?
そもそも俺は、姉貴と一緒に住んでいたっけ?
次々と浮かび上がる、おかしなところ。
何がおかしい?
いや、違う。

(何が、”正しい”んだ?)

俺は、鞄をひっくり返し、中から日記を取り出す。
いつからおかしい?
俺は、山本とどうやって知り合った?
いつのまに、こんな仲になったんだ?
思い出せない。
何かが、俺の頭の中からごっそりと抜け落ちている。
何もかもが、分からなくなる。
今のこの現実に、確かな証拠が欲しい。
なのに。

「何も、ない…」

開いた日記は、白紙だった。
さっきまでは確かにあった字が、消えていた。
今日一生懸命書いた朝の出来事さえ、すっかり消えてしまっている。
まるで、現実全てが間違いだとでも言うかのように。

「この世界は、何だ…?」

「―――獄寺。」

音を立てて、日記が地面へと落ちる。
振り返れば、山本の姿があった。
いつもの、あのほっとさせてくれる、暖かい笑顔。
そう、いつもと同じなのに。
今は、なぜか、冷たく感じる。

「や、まもと…?」

声が震える。
頭の中で、何かが危険を知らせているようだった。
痛い。
どこが痛いのかわからないけれど、痛いという感覚だけが頭の中を支配する。
その痛みに耐え切れなくなって、思わず目を閉じた俺に。
暖かいものが、触れた。

「俺は、ずっと、このままが、いいよ…!」

山本は、俺を強く抱きしめたまま、小さな声でそう告げた。
そして、俺はその言葉で全てを悟った。
ああ、これは。
この世界は。

「俺も、幸せだ―――いや、幸せだったよ。」

両手で、山本の背中に触れる。
暖かい。
まだ、体の震えは止まらないけれど。
痛みは未だに消えないけれど。
それでも、それを忘れさせてくれるような暖かさだった。
例えそれが、現実でなくても。
俺は、幸せを感じていられた。

「ごめんな、山本。俺、もう帰るわ。」

腕の中の暖かさが、消えゆく。
世界が、白く塗りつぶされていく。
それは、俺が望んだ世界。
幸せな夢。
でも、それは現実じゃない。
ここにいてはいけないと、頭の中で何かが叫んでいる。
帰って来いって、声が聞こえる。
遠くで、俺の名前を呼ぶあいつの声が聞こえるんだ。
だから、帰ろう。
本当の現実へ。


あいつの、元へ。










「…獄寺!」

目を覚まして最初に見たのは、山本の泣き顔だった。
情けねぇ顔だな、本当に。

「よかった、目を、覚まして…俺、本当に心配して…」

握り締められた俺の手に、山本の涙が降りかかる。
暖かい。
夢の中の山本よりも、その体温は、涙は、暖かかった。

「ずっと、名前呼んで、でも、お前、起きないから…」

「ばぁか。聞こえてたっつーの。」

多分、今までに見せたことの無い笑顔だと、自分でも思う。
その証拠に、山本の顔が間抜け面になってやがる。
そんな山本に、空いた手でデコピンを食らわせてやって、俺は言った。

「ただいま。」











ことの発端は、「10代目」だった。
簡単な話、山本が嫉妬したのである。
俺があまりにも「10代目!」ばっかり言うものだから、山本は「ツナの方が好きなんじゃないのか」とか「無理して俺に付き合うこと無い」なんて馬鹿げたことを言いやがったのだ。
俺は「10代目」を尊敬の対象で見てはいるが、別に恋愛感情と言うわけじゃない、好きなのはお前だ、などと、こっぱずかしいセリフを散々山本に言い聞かせたものの、山本はそれでも納得しないわ、俺自身山本の言葉にカチンときていたこともあったりで、いつの間にかそれは言い争いにまで発展していた。
山本の頑固さにイライラした俺は、「お前に俺の気持ちが分かるわけねぇだろ!」なんて捨てゼリフを吐いてその場を逃げ出し、そして飛び出した先で車と衝突した。
山本の話によると、俺は意識不明の重体で1週間も生死を彷徨い、先日、やっと目を覚ましたということだ。
そして、その1週間の間、山本はずっと俺のそばから離れなかったらしい…というのは、10代目に聞いた話だが。

「馬鹿じゃねぇのか、あいつ。」

病院の屋上で、俺は煙草をふかしながら呟いた。
四六時中付きまとってくる山本を振り切り、なんとか屋上でこうして一人くつろいでいるところだった。

「まぁ、馬鹿なのは俺も同じか。」

「10代目」の存在しない夢。
多分、それは俺の願望が作り出した、夢。
「10代目」がいなかったら、きっとこんなことで言い争うことも無く幸せだったんだろうなぁ、なんて車にぶつかる前に考えたんだろうな、多分。

「すんません、10代目。」

今度お会いしたときに誠心誠意謝っておこうと思う。
そういえば、山本は俺が目を覚まして以来謝りっぱなしで、ずいぶん気持ち悪い。
まぁ、仲直りできたのは、よしとする。
当分の間、このことで良い思いは出来そうだし。

「なんでも言うこと聞いてくれそうだよなぁ。」

「そうだなー。俺に出来ることなら何でもやってやるけどなー。」

「…じゃあ何お願いしよっか…って、山本!?」

振り返ると、山本の姿がそこにあった。
俺を探して走り回っていたのか、若干息が荒い。

「獄寺、みーっけ。煙草は体に悪いだろ?」

と、煙草を取り上げられてしまう。
せっかく久しぶりに吸えたのに、ちくしょう。

「んで、俺は何をお願いされるんだ?」

俺の隣に座った山本が、笑顔で尋ねてくる。
今なら、本当になんでも言うことを聞いてくれそうだ。
さて、何をお願いしようか。

「あー、口が寂しいなぁ~。」

「煙草は駄目だぞ?」

「そんなもんいらねぇよ。」

「じゃあ、何だよ? 俺、今は飴とかもってねーし…」

「ばーか。そんなの、決まってるだろ。」

「へ?」

間抜け面、パート2。
こんなところは鈍感なのが、山本らしいと言うか、何と言うか。
俺は、山本の着ているシャツの襟元を掴むと、そのまま引き寄せ。

キスを、した。

「…ご、獄寺!? な、なな…?!?!」

困惑する間抜け顔の山本を見ながら、俺は静かに笑った。
そして、止めの一撃を放つ。

「俺が好きなのは、お前だけだよ。」

その時の俺の顔が赤かったとしたら、それはきっと落ちていく太陽の所為に違いなかった。









なぁ、夢の中の山本。

今なら、俺ははっきり言える。

あの夢の中より、こっちのほうがずっと幸せだってな!





fin

リング争奪戦も終わり、平和な日常が戻ってきた並盛中
破壊尽くされた校舎はボンゴレの総力を挙げて修復され、
全壊した体育館ですら完全に直っていた
もちろんそのことを並盛に通っている生徒達は知らない
その戦いで死力を尽くした6人以外は

「ふぅ~~っ!!平和っていいよなぁ」

自分達以外誰もいない屋上
天気が良いので、昼食は屋上で食べることにしたのだ
綱吉はフェンスにもたれながら、両腕を広がる大空へと伸ばして心から安堵する
その首には過日の戦いで勝ち取ったボンゴレリングがかけられていた
本当はこんな不吉なリング、持ってなどいたくなかったのだが
家庭教師から脅されたらしい

「やっぱ平和が1番っスよね、10代目!!」

その綱吉の右に位置し、笑顔で返事をするのは獄寺
彼の右手の中指には同じく勝ち取ったボンゴレリングがはめられている
持つのがイヤなどと彼は思わない
むしろ次期ボスのファミリー・守護者である証のリングを誇りに思い身につけている

「校舎直ったから雲雀さんにも怒られなかったし」
「あんなヤツが怒っても、オレがちゃんとぶっ飛ばしますから大丈夫っスよ!!」
「だからそんなことしないでってば!!」

笑顔で、しかも断然やる気でダイナマイトを装備した獄寺を綱吉は必死で止めようとする
雲雀もまたボンゴレの守護者である
それに、守護者最強と言っても過言でないほど強い
獄寺が負けるとかそういうことは思わないのだが、だからってむやみに戦いなどしてほしくはない
というかもう2度とあんな戦いはまっぴらだ、と思っている

あれ?

ふと、綱吉は気がつく
いつもだったらそろそろ山本の、いつもの山本節で合いの手が入るはずだ
なのに今日は入らない
この場にいるのに、だ

「山本?」

フェンスにもたれかかり座りながら、ぼぉ~っと空を見上げている山本
その右手には飲みかけのストローつき紙パックの牛乳がある
だがそれを飲まずに、ただ山本は空を見上げていた

「お~い、山本?」

綱吉が再び声をかける
だが山本は反応しない
どこか遠くを見続けているだけだ

「てめぇ……おい野球バカ!!10代目がお呼びだ!!」
「いや、別にお呼びだなんてそんな大層じゃないから!!」
「…………ん?あ、ツナに獄寺か。」

どうした?
ようやく2人の方を向いた山本が2人に笑顔を向ける
いつもの笑顔
だがいつもの笑顔じゃなかった
それを真っ先に感じたのは、ボンゴレの血『ブラッド・オブ・ボンゴレ』に備わっていると言われている超直感を持つ綱吉だ

「………どうしたの、山本」
「どうって……どうもしないぜ?」
「違うよね?」

悩みもせず即答する綱吉の言葉に、山本は一瞬動揺する
微かだが、その動揺に獄寺は気づかないはずがなかった

「何かあったのか?」

獄寺がそう言うと、山本は上げていた顔を伏せる
右ひじを曲げた右ひざの上に置いていたのだが、手にある紙パックと共に屋上の床へと下ろした
まるでその姿が泣いているように思える
綱吉はしゃがみこみ、山本の前に座った

「その………この間までの戦い、……オレのせいで巻き込んじゃって、すごく悪かったって思ってる。」

晴れ渡る大空に、一瞬陰りが出来る
少しばかりある雲が太陽を隠したのだ

「山本だって大ケガしたし、山本だけじゃなくて獄寺くんも、雲雀さんも、京子ちゃんのお兄さんも、ランボも、髑髏も…みんなみんな、いっぱい傷ついた。」

「10代目…」

「けど…………でも、ね。みんなが力を合わせて戦ってくれて……オレ、すごく嬉しかったんだ。死にそうになったりもしたけど、けどっ、みんな今生きてる。誰も死んでなんかいない。」

獄寺が少しばかり顔を伏せる
綱吉の言うとおり、戦った全員が生きている
嵐の守護者の戦いの折、命よりもファミリーのためにリングを取ろうとした
こんな命でファミリーの勝利に繋がるのなら安くない
そう思った
だが、彼が選んだのは、自分の命だった
他でも無い、尊敬し一生ついて行くと心に決めたこの少年の言葉によって

「だから、オレ…」

「ツナ………」

綱吉の言葉をさえぎり、ようやく山本が言葉を発する
まだ顔は伏せられたままだ
だけど何か言ってくれる気になったのだろう
綱吉は何を言われても受け止める覚悟をする
先の戦いのせいで山本は右目を負傷した
失明にはいたらなかったが数日間は眼帯生活を余儀なくし、
そして眼帯が取れた今も、まだ視力は完全には戻っていないらしい
そんな目に合わせてしまったのだ
何を言われても、罵声を浴びさせられても、仕方が無い

ゆっくり、山本が顔を上げる

「なぁ…………」

 

 

「どうやったらスクアーロに会える?」

 

 

 

 

 

 

 

はい?

 

 

 


思わず、そう言わざるを得なかった

「いやぁ~、さっきからずっと考えてたのな~。スクアーロ達ってもうイタリア帰っちまったんだろ?イタリアまでの行き方なら知ってっけど、どこにいるかも知らねぇし。」
「…ぁ…………え?す、スクアーロ?」
「おぅっ」

対峙したヴァリアーの雨の守護者候補
長い銀髪の剣士、スクアーロ
山本に破れ、1度は死んでしまったかと思った相手だ
大空戦の折、ディーノによって連れられるまで本当に死んでしまったものと思っていた
何よりも誰よりもザンザスに忠誠を誓っている男だ


なのだが


「あのね…山本。もう少しわかるように説明して欲しいんだけど…」
「ん~~別に大したことは無いと思うんだけどな。ただ、なんか無性に会いたいのな~」
「スクアーロに?」
「スクアーロに。」

立ち上がり、西の方を見つめながら「会いたいのな~」と呟く山本に、
綱吉は何も言えなかった


3月3日と言えばひな祭り
ひな祭りにはひな飾りを飾ったりひなあられを食べたり甘酒を飲んだり…
とにかく、女の子がいる家ではそういったイベントが行われる
これこそ桃の節句である
「でもそれ、オレ達には関係無いっスよね」
いつもいつもの練習を終え、部室で着替える青学レギュラーs
着替えている最中に突然水樹が「今日はひな祭りだ!」と言い出したのだ

「だって、ひな祭りって女子の祭デショ?」
「うわっ、リョーマひどっ!!男女差別だ~!!」
い~けないんだ、い~けないんだ!!
指差しながらなんともリズミカルに水樹は歌う
あまりにもガキ丸出しな様子に越前は、むしろ学年が2つ下の自分の方が年上なんじゃと錯覚を覚えてしまう
部長こと手塚がいれば注意をするだろうが、残念ながらこの状況に手塚はいない
大石と共に竜崎先生と話しているらしい
「ふふっ。でも、ボクらも全く関係無いわけじゃないよ?」
「どういう意味っスか?」
「ままままさか!!シュウのヤツ実はおん「水樹、それ以上言ったら問答無用で犯すよ?」

爽やかな笑顔だが、言葉に込めている思いは残虐かつ非道なもの
不二のそんな一言に、水樹は自らの身の安全を本気で考えた
「でもでも、オレもひな祭りのお祝いしたことあるにゃ」
「へ?キクも?」
「ボクが思うに、多分大石もあると思うな。あと桃城も。」
「ほぇ?」
「不二先輩の言う通り、オレもあるっスよ~!」
わけがわからなくなり、水樹の頭の中には?マークが詰まってくる
詰まり過ぎて耳からこぼれだしてるくらいだ
そんな水樹を知ってか知らずか、ひな祭り経験者組はわいわいと盛り上がる
雛段でどれをどこに飾るかわからなかったスよね?
みんなでひなあられ食べたにゃ!
甘酒に酎ハイ入れて飲んでたなぁ
つまり彼らの共通点は、『女兄弟がいる』ことである
姉やら妹やら、女兄弟がいると一緒に準備やお祝いはするものなのだ
経験者しかわからない話題で盛り上がり、水樹は完全に蚊帳の外
「タカぁ~~~」
涙を流しながら河村へと視線を送る
河村は1人っ子なため、ひな祭りのお祝いなどしたことがないはず
「ごめん、水樹。オレも一応お祝いしたことあるんだ」
「なんですとぉぉぉぉっ!!!」
「ほら、ウチ寿司屋だから」
ひな祭りの日にはチラシ寿司
かく言う作者のこの晩ご飯はチラシ寿司であった
毎年近所の者に配るために、河村寿司ではチラシを作っているのだと言う
「なんだよなんだよ!!みんなしてひな祭りやりやがって!!!」
水樹は泣きながら立ち上がる
すると、ジャージを着たまま部室を飛び出して行った
「水樹!?」
菊丸が叫ぶと、一瞬水樹は足を止める
だが…
「引き止めたって無駄だからな!!オレはグレる!!!」
そう叫び、再び走り出してしまった
全力で走り去る水樹
彼の足の速さを皆知っているため、誰も追いかけようとはしない
すぐにその姿は小さくなり、やはりすぐに見えなくなってしまった












「うわぁぁぁぁぁぁんっ!!聞いてくれよケイ!シュウが、シュウがぁぁぁっ!!!」
「何でわざわざオレ様の所に来るんだ!暑苦しい、離れやがれっ!!」
「マ○オカートしようぜ」
「……はぁ?」

突然の山本の提案に、獄寺は明らかに嫌そうな返事をした
山本が何かを言い出す、しかもそれは突拍子も無いことが多い、のはいつものことだが
なぜ突然マリ○カートなのだろうか?

「てめぇ………今、ココがどこだかわかってんのか?つーか状況わかってんのか?」
「遊びに来たはいいもののツナ本人は突然呼び出し受けて2、3時間留守にするから勝手にくつろいでてと言ってたから言われた通りくつろいでんだろ?」
「……何でそんな説明調なのかは知らねぇが、まぁその通りだ。つまりここは10代目の部屋だ!!」
「ツナの部屋なのな~」
「だから!10代目のお持ちのゲームを勝手にやるだなんて、してはいけ「準備できたのな~」
獄寺の言葉を遮る山本は、宣言通りゲームの準備を終えていた
ちゃんとゲーム機からテレビにコードは繋がれてるし、コントローラーだって色違いのが2つ繋がっている
ちなみに山本が手にしているのは黒色で、獄寺に渡そうとしてるのは灰色だ

「てんめぇ……何勝手に10代目の私物漁ってんだ!!」
「ま~ま~、いいじゃねぇか。くつろいでてって言われてるしな。」
それに、と山本は続ける
「なんか久々にマリオカー○したい気分なのな」
「てめぇの都合かよ!!!」
獄寺は盛大に叫ぶが暖簾に腕押し、山本には一切効果は無い
それはどのくらいかと言うと、地面タイプに電気タイプの攻撃をしたくらいだ
ピカチュウでディグダを相手にする際は電光石火などのノーマル技を使うことをオススメする
「獄寺はどれ使う?」
「つーか始めてんじゃねぇよ!!」
「オレはいっつもキノ○オだから、獄寺はキ○ピオ以外選ぶのな」
「はぁ?軽量系なんか使いにくいじゃねぇか。中量系が無難だろ?」
「けどスピード出るぜ?」
「バカかてめぇ?だったら重量系で吹っ飛ばしてやるよ」
灰色のコントローラーを握った獄寺はク○パを選び、テレビの前に座った
獄寺がキャラを選んだため、テレビにはコースの選択画面が映る
問答無用でレインボーコースを選び、そして決定ボタンを押した

『ピ、ピ、ピ、ピー!!』
スタートの合図と共にキノピ○もクッ○も一斉にスタートした
だがさすが軽量系、スタートダッシュでまずは一歩リードする
「けっ!速いのは最初だけだ!!」
最初は遅くとも、ぐんぐんと○ッパは速度を上げていく
みるみるうちに距離はつまり、2人は並んだ
だがその直後、目の前にはアイテムゾーンがあった
2人はほぼ同時にアイテムを取り、そしてルーレットが回る
するとク○パはそのスピードを少しだけ緩めた
「ん?」
おかげで○ノピオが前に出て1位となる
「………前に出やがったな?」
すると、獄寺はにやりと笑みを浮かべ
「果てろ!!」
叫ぶと同時に先程ゲットしたばかりのアイテムを発射させた
獄寺が得たのは赤いこうら
前方にいる標的をどこまでも追跡し、攻撃するアイテムだ
獄寺はそれを得たことを知ると、あえて攻撃のために少しスピードを落としたのだ


だが


「甘いぜ、獄寺」

赤いこうらは○ノピオにまっすぐ向かって行ったと思われたが
ぶつかる寸前にキ○ピオは自車の後方に緑のこうらを引き下げ、攻撃を相殺した
「なっ!!」
「へっへ~、このまま先行くのな!」
軽量系ならではのスピードでぐんぐんと前へと進む
クッ○は一時期スピードを落としたため、最高スピードに達するまでは少し時間がかかる
「くそっ………絶対ぇぶっ飛ばす!!」
獄寺は負けじとボタンを押し続けた














「2人とも、ものすごく熱中してるね」
「あぁ。お前が帰ってきたのに気付かれないほどにな」



「果てろ!!」
「果てないのな~」


夢中で画面に見入ってる2人を、ツナは暖かく見守った




「お前に、俺の気持ちが分かるわけねぇだろ!」


始めは、些細なことだった。


「獄寺! 待てって!」


どうして、こうなったのかは分からない。


「離しやがれ! お前の顔なんて、もう見たくもねぇよ!」


でも、もう俺は俺自身を止めることは出来なかった。

ただ、その場から逃げ出したかった。

それは、今の状況からか、山本からなのか。

それとも、自分の気持ちからなのか…

分からなかったけれど、ただ、逃げたかった。

その気持ちで精一杯だった。


「獄寺! 危ねぇ!」


だから気付かなかった。

山本のその声にも。

そして、俺の前にぽっかりと広がった暗闇にも。















「………」

誰かの、声がする。

「…人……なさい…」

女の、声…?
聞いたことのある…誰だっけ…

「隼人! 起きなさい!」

耳元で聞こえた大声に、俺は飛び起きた。
目の前には、見覚えのありすぎる顔。

「姉貴…?」

「なにボサっとしてんのよ。早くしないと、学校に遅刻するわよ。」

まだ半覚醒な俺の頭に、容赦なく降りかかる目覚まし時計。
床に落っこちたそれを見れば、時刻は8時半。

「げっ! もうこんな時間じゃねぇか!」

俺の叫び声に何か言う姉貴の声が聞こえたが、そんなことを気にしている場合じゃなかった。
急いで着替えて、鞄を左手に、食卓においてあるトーストを口にくわえ、俺は学校へと向かった。






キーン…コーン…カーン…コーン…

予鈴が聞こえる。
ぎりぎり間に合った…そう思いながら、下駄箱で上履きに履き替える。
そして。

「よ!」

後ろから聞こえた声と共に、俺は思いっきりすっころんだ。

「おい、大丈夫か、獄寺!」

支えられながら足元を見れば、何のことはない、見事に靴紐を踏んでいた。
今度から紐靴はやめよう…

「ちくしょう…今日は一体なんなんだよ…」

寝坊するわ、転ぶわで、いいことなんて全くない。
いや。
そうでもないかもな…

「ははは。獄寺は今日もおもしろいのな。」

少しでも俺にそう思わせるのは、横で思いっきり俺のことを笑っている奴。
山本だ。

「笑うんじゃねぇ! …つーか、お前も寝坊かよ。」

「獄寺と一緒なのな~。」

「うるせぇ! そんなこと言ってっと…」


キーン…コーン…カーン…コーン…


聞こえる始業ベルの音。
同時に走りだす、俺と山本。

「ほら、てめぇの所為で遅刻したじゃねぇか!」

「ははは~、獄寺と一緒なら別に遅刻してもいいのな。」

「暢気なこと言ってんじゃねぇよ! 遅刻なんてしたら、10代目が―――」

「こら! 山本! 獄寺! もう授業始まってるぞ!」

俺の声を遮って聞こえるのは、担任の怒鳴り声。
ちくしょう、いつも教室に来るのが遅いのに、今日に限って時間きっかりに来るとかありえねぇだろ!

「見つかったのな~♪」

そして、隣の奴は相も変わらず暢気に笑ってやがる。

「だ~か~ら~、てめぇはなんでいつもそういう…」

「喋ってないで早く来い!」

またもや声を遮られ、流石に山本もヤバイと思ったのか、それ以降俺達は一言も喋らずに教室まで全力でダッシュした。
そして俺は、教室に入るなりまたもや見事にこけた。

「ちくしょう…一体、今日はなんだってんだよ…」

原因は、誰かが放置した雑巾だった。





昼休みが来た。
俺が一番楽しみにしている時間。
俺は一人、さっき買った焼きそばパンその他諸々を持って屋上に行く。
そして、来たるべき相手が来るのを、地面に寝転がって待っている。
空は青く、一般的に言うところのいい天気だった。
とても気持ちがいい。

「あーちくしょう…また昼から授業かぁ…」

学校の授業なんて、俺には退屈な時間でしかない。
聞いてなくても内容はわかるんだし、真面目に聞いたところで眠くなるだけだ。
なら聞かないほうがいいに決まってる。
ゆえに、本来ならば日本語が並ぶはずの俺のノートには、おそらく誰も理解できないであろう文字が並んでいる。
俺だけが知る文字。
それというのも、俺が何を書いているのか理解されない為であって、別にそれ以外の理由は無く。
書いてる内容といわれても、大したことはない。
ちょっとした日記のようなものだ。
日々の、ちょっとした出来事をつづっていくだけ。
読み返しては、「ああ、こんなこともあったなぁ」と懐かしく思うだけ。
とりあえず、今日は朝の出来事を鮮明につづっておいた。
あれほど不運なことも、そうそうないだろうし。

「後で読んだら、おもしろそうだからな。」

自分のこととはいえ、済んだことだ。
特に何か思うことはない。
笑い話として、後の話題になるくらいしか使い道はない。
そう、あんな間抜けな姿、10代目にでも見られたら―――

「ごーくっでらっ♪」

突然、視界から青色が消える。
そして、朝の俺に負けず劣らずな間抜けな顔。

「待ったか?」

いつもの、何も考えてねぇような笑顔。

「てめぇは、いつもいつも遅ぇんだよっ!」

起き上がり様、思いっきりその頭に頭突きを食らわす。
ひっくり返った山本を放置して、俺は立ち上がった。
どうやら、俺の方が石頭らしい。
山本はしばらくの間、頭を押さえていた。

「獄寺はひどいのな。」

「てめぇが遅いからだろ。自業自得だ。」

「獄寺が早いだけなのな。俺は悪くない。」

「そんなことを言う口はどの口だ、あぁ?」

腰に手をあて、威張っている山本の両頬を思いっきりつねってやる。
それでも少し涙ぐみながらも、山本は笑っていた。
そんな様子を見てると、なんだかこっちが本当に悪いような気がしてきて、さっと手を離す。
そして、その場に座り込んだ。

「今日は焼きそばパンなのか?」

同じように隣に座った山本が言う。
見ればわかることなので、特に返事はしない。

「俺も焼きそばパンなのな♪」

人が食べている横で、それと同じものを取り出す山本。
何がそんなに嬉しいのか、満面の笑みを浮かべて、俺と同じものを食べる。
そうして、互いに無言で焼きそばパンを食べ続け。
なぜか山本の方が早くに食べ終わり。
小さく、呟いた。

「…獄寺。」

返事は、しなかった。

「俺、今、すっごく幸せだ。」

返事は、できなかった。

「こうして、獄寺と一緒に登校して、授業受けて、焼きそばパン食って。」

焼きそばパンが、なくなった。

「毎日がゆっくり過ぎていくのが、凄く嬉しい。」

山本の顔は、見れない。

「いつまでも、ずっと、このままだったらいいのにな。」

山本が、笑顔で、言った。

「…ああ、そうだな。」

だから俺も、本当に小さな声で呟いた。

「すげぇ、幸せだ。」






どちらからというわけでもなく交わしたキスは、とても香ばしい味がした。






「焼きそばパンの味しかしねぇ…」

「ははは。仕方ないだろ、焼きそばパン食ったんだから。」

「ま、昼ごはんにはちょうどいいか。」

「そうだな。」






こんなふうに、たわいもない会話で過ぎていく時間が、

たまらなく、愛おしかった。

本当に、今まで生きてきた中で、一番幸せな時間だった。

そしてそれは、これから先も、きっと……








to be continued... (後編へ続く)



「タバコって美味い?」

帰り道
ツナとは先程の曲がり角で別れて2人となるや否や
山本は尋ねた
「知るか」
「だっていつも吸ってるのな」
獄寺はよくタバコを吸っている
ツナといる時はツナに遠慮して吸わない時もあるが
今みたいにツナがいなくなったら吸い出すことは稀じゃない

「吸ってねぇと落ち着かねぇんだよ。だからっていつも吸うわけにゃいかねぇからな」
10代目のお体を損ねるだろが
いつもと言えるほどツナのそばにいるのは
もはや獄寺にとって当たり前のことらしい

「ちょっと妬けるのな…」
「あ?何か言ったか?」
別に

いつもの笑顔でそう返す
けど、と山本は思う
獄寺はツナには遠慮するが、山本には遠慮しない
今吸っているのが良い証拠だ
彼が転校してきて初めて会った時に比べて
信用されてる証かもしれない
「なぁ、獄寺」
タバコを指で挟み、煙を吹き出した彼を呼ぶ
多少イヤな顔をしてはいるが、獄寺はちゃんと山本の方を振り返る

 

 

ちゅっ

 

 


「~~~~!!!!」
「苦っ………獄寺、よくこんなの吸え「何しやがんだてめぇぇぇっ!!!!」
怒り混じり、否、本気で獄寺は怒っているだろう
思わず指にあったタバコを落としてしまうほどに
「だって獄寺いつも美味そうに吸ってるから、オレも味知りた「だったらてめぇが吸えばいいだろ!!!」
「無理なのな~。中学生は吸っちゃダメなの「てめぇはコレ以上身長伸ばす必要ねぇ!!!」

山本の胸倉を全力で掴みながら叫ぶ

「大体んなとこでキスなんかやるヤツがどこにいる!!まだ10代目の家の近くだろが!!!」

ガミガミ

ギャアギャア

獄寺は叫ぶが、わかっているのだろうか?
自身が発した先の言葉の意味を

ツナの家の近くだから怒っている
つまり
ツナの家の近くじゃなけりゃ別に構わない、と
言ってるのだと

そして山本は
それに気付いている

「獄寺好きなのな~」
もう1度、今度は頬に唇を落とす

「っ!!!!果てろっっ!!!!」

 

 

何がガンダムだ
何が戦争根絶だ

お前達のやっていることはただの破壊にすぎない
ただの人殺しにすぎない

関係の無い人たちを巻き込み
関係の無い人たちを殺した

それで戦争がなくなる?
世界が平和になる?

なるはずが無い

お前達はただの大量殺人者なんだ
英雄でもなんでもない
神なんかでもない


ボクは

オレは

 

お前達を許さない

 


「グラハム・エーカー大尉………面会を希望する者が…」
グラハムはかけられた声に振り向く
面会、そんなアポは聞いていない
ビリーならば先ほど会ってきたし、部下達ならわざわざ面会などという手段をとらないだろう
なら、相手は基地に自由に入ることの出来ない者ということになる
「希望者はどんな方だい?」
「それが…………どう見ても普通の子供でして…」
伝えに来た者も困惑しているらしい
普通の子供、なら尚更心当たりは無い
だがもしかしたらニュースか何かで我等フラッグの活躍を見て、会いに来たのかもしれない
無碍に帰すのもアレだ
「わかった。出向こう。」

 

「アナタが……グムハム・エーカー大尉ですか」
面会室でグラハムが会った少年はただの少年だった
まだ学生だろう
ハイスクールかカレッジかに普通にいそうな学生だ
「そうだが……」
返事をすると、彼はまっすぐとグラハムを見据えてきた
その瞳の奥には何かが見え隠れする
何かに対する強い思い
秘められたソレにグラハムは興味を惹かれる

「ボクを…………軍へ入れてください」

 

そして

 

「ガンダムを倒させてください」

 

 


そうか
キミは………

 

 


グラハムは笑みを浮かべる

「いいだろう。上には私が話しておく。」

見つけた
自分と対等な力で、共にガンダムを倒すことができる者を
この少年ならば
もしかしたら、自分の力も超えた力で

あのガンダムを倒すことができるかもしれない

 

「グラハム・エーカー大尉だ。」

グラハムは右手を差し出す
すると少年もまた右手を出し、グラハムの右手を握った


「サジ・クロスロードです」

 


彼の目には、強く輝く焔が宿っていた

最近、何故か妙に疲れる…


「あれ?どうしました土方この野郎。サボリかこの野郎。」

屯所の中庭に面した縁側で一服ついていると、総悟が声をかけてきやがった
軽く振り返り、ヤツを見る

「サボリじゃねぇよ。休憩だ。」
「サボリじゃねぇか。」
「サボリじゃねぇ。つーかてめぇこそ何やってんだ?仕事はどうした、仕事は。」
「オレは休憩ですぜぃ。朝からずっと。」
「仕事しやがれてめぇぇぇっ!!!!」

叫びつけるが、こうしたところで総悟が素直に仕事するとは思えねぇ
案の定、ヤツは仕事する気もなさげにオレから少し離れて縁側に座った

「茶。」
「自分で入れろ」
「うっわ~。さすっが鬼の副長、オレを凌辱して喜ぶなんざ、Sっ気も甚だしいや。」

誰がSだ、誰が
そりゃてめぇのことだろが
学生シャツの下にSって書かれた青いTシャツ着てやがるくせに
…………ん?
あれ?何でオレこんなこと知ってんだ?作文?

「ま、土方がSだろうとMだろうとマダオだろうとどうでもいいや。」

ならわざわざ言うな
ったく………珍しくて心配してきたかと思えばこれか…

「で?」
「ん?」
「いや、溜め息ついてるから何かあったのかな~って思ってねぃ」




…………





…………………………







「明日は雨か?」




雪……いや、槍かもしれねぇな
あり得ねぇ
あり得ねぇ
自分のことと自分が楽しむことしか考えてねぇサディスティック星の王子な総悟が
他人を
つーかオレを心配するなんざ

えいりあんvsヤクザが最終回になるくらいあり得ねぇ!!!



「ひでぇな土方さん。オレだって心配することくらいあるますぜぃ」
「…………てめぇ、何考えて…いや、何企んでやがる?」
「土方を殺す計画ならいつでも考えてますぜぃ。刺殺、撲殺、絞殺、斬殺、毒殺、それとも呪殺がお望みかこの野郎」
「一遍てめぇを殺してやろうか!!」

何てこと考えてんだ!!
副長の座を狙ってるとかは知っていたが
まさかここまでしやがるとは…
さすが総悟というか…

つーか何でオレ感心してんのォォォっ


「いいから言えやこの野郎。いつまでもぐだぐだぐだぐだ話伸ばす気か?」

こんのっ…………てめぇはぁぁぁっ!!!

「今日は土銀オンリーだからって受かれすぎですぜぃ」
「いや、それ先週だから!!」
「先週から書き続けてるくせにまだ書き終わらないのかよ」
「ご、ごめんなさい…」

って、何でオレ謝ってんのォォォっ

「しかも今日は帰りに南京町寄る気かよ」
「作者の私情は関係ねぇだろ!!」
「え~~~~」

何が『え~~~~』だ!!
久しぶりに南京町の肉まんが食べたいとか全然関係ねぇだろ!!
ったく、必要ねぇもん引きだしやがって…

「大変でさァ」
「あぁ?」
「このSSで書こうと思ってたネタ、忘れちまった」

ちょっとォォォォォォっ!!!
何やってんのこの子!!

「オレ、何で土方の野郎心配してたんだっけ?」
「てめぇがオレの体調悪ぃの心配して『あ~じつはそれオレのせいでした』的なことてめぇが言ってオレが一遍殺させろ言いながら斬りかかっててめぇはバズーカで応戦してたまたまそこにいた山崎が巻き込まれて近藤さんがやってきて全部山崎のせいにする、だろが!!!」
「あ~、そうだった。と、言うわけで…」
「………え?」

ドッゴォォォォォォンっ!!!!!








「……………総悟…」

てめぇ…


いつかぶっ殺す!!!!!



 

「最初はさ…………ただ…」
「ただ?」
「アビスのキャラとあははうふふでウハウハしたかっただけだったんだ…」

だけど実際、アタシの目の前で人は死んだ
それを知っていたのに
アタシは助けることが出来なかった


「ねぇ……ジェイド」

 

「アタシは」

 

「何のためにここにいるんだろ」

 


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