[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
突然の転校生がやってきたニュースは、瞬く間に学校中に広まる。隣のクラスや他の学年などからも、どんなヤツだ顔を見せろと言わんばかりに教室の廊下には生徒達が集まる。正直、うんざり、というかウザい。ウザくてウザくて仕方が無い………はず。
「はは……すげぇな、やっぱ」
ロックオンは予想していたとでも言わんばかりの言い方だ。まぁ、普通に考えたらこのくらいは予想できるのだろう。教室中に注がれるたくさんの視線に、アレルヤはビクビクと怯えてはいるが、こんなのは今日1日だけに限るので、仕方が無いが1日我慢するなりしてもらう必要がある。まだ注目を浴びる中心の人物じゃないからマシのはずだ。
「…で、その注目を浴びてるハズの転校生は、と………」
黒い猫っ毛な癖毛の小柄な少年、名は刹那・F・セイエイ。彼もこの視線を体中に浴びているため、怯えるなり怖がるなりしていると予想し、ロックオンは彼の方を振り向く。
が。
「……………。」
彼はただ無言で教科書を見ていた。
一瞬目を丸くし驚くが、めげずにロックオンは立ち上がり刹那の元へと近づいてく。
「刹那。お~い、刹那。」
返事は無い。ただの屍……では無いが、そう、返事は無かった。一心不乱にというのか、とにかく完全に集中して教科書を見ているのだ。この視線に気づいていないのだろうか?気づいていないならいないである意味幸せだが…
「せーつーなー」
真正面で間近でそう叫ぶと、さすがの刹那も気づいたのだろう、顔を上げた。だが、顔を上げたその真ん前にはロックオンの顔がどアップという状況だ。目が合い、ニカッとロックオンは笑う。
「……………………。」
しかし刹那は再び、教科書に視線を落とした。
「おい、刹那!!!」
さすがのロックオンもつっこむ。というかつっこまざるをえない。横では刹那の隣の席のマリナが苦笑している気がするがねとりあえずそれは置いておこう。余程教科書が好きなのか気になるのかはわからないが、一向に顔を上げない刹那に、ロックオンは無理矢理教科書を奪う。
「……………あ。」
「ようやく喋ったかと思えば、『あ』の一言かよ。」
「何だ?」
「お前、転校生だろ?転入してきたクラスのメンツと仲良くなろうとは思わないわけ?」
普通ならそうする、普通ならそう考えるはず。だが、刹那が応えたのは
「思わない。」
の一言だった。
「お~い………」
苦笑せざるをえないというか、何と言うか……。そうロックオンが思っていると、
「そんなことではクラスのまとまりがなくなってしまうだろ!!」
ビシっと刹那を指差し、ティエリアは叫んだ。一体いつの間に横に来ていたかは知らないが、とりあえず置いておこう。
「ボクにはクラスをまとめるという義務がある。刹那・F・セイエイ、キミもこのクラスに入ったからには、素性がどうであれ、学級委員であるボクに従ってもらう。」
さすが学級委員、正論を刹那につきつける。が、
「断る。」
またもや一言で返した。
「何故ボクに従わない?それがキミの正義か?」
「オレは誰にも従わない。神などいないのだからな。」
「神がいるかいないかなど関係無い。」
「この世界に神はいない。」
「それは本編での設定だ。今のこの話は『学園もの』であって、ガンダムを乗り世界を戦う話では無いの「ストーップ!!!!」」
ロックオンは叫び、2人の会話を止める。何だという2つの視線を浴びるが、これだけは言わねばならない。
「いいか?『学園もの』とかそういうことは言うんじゃない。ただでさえ、書いてるヤツは初の00の小説連載が学園もので設定とかいろいろどうしようと悩み悩みに書いてるんだ。んなこと言って刺激して、とりあえず書いてりゃどうにかなるだろうと考えながら先の展開とか考えずに書いてるヤツに失礼だろ。」
「ロックオン、貴様こそいろいろと言ってはならぬことを言ってるではないか。」
00とか連載とか設定とか。
「あ~~………まぁ、言っちまったモンはいいんだよ。とにかくだ。これ以上書いてるヤツを困らせないよう、話を続け……………って、聞いてんのか、刹那?」
刹那は取り戻した教科書を再び凝視していた。どれほど教科書が好きなのだろうか…。私は教科書なんて、卒業と同時にいらないのは捨てたというのに。
「わかった」
パタンと教科書を閉じ、机の上に置く。そして顔を上げ、目の前にいる2人を見つめた。
「おっ、ようやくわかってくれたのか。」
「ちなみに聞くが、キミは何をわかったんだ?」
刹那は一息つき、言う。
「オレはガンダムだ」
「「関係ねぇよ!!!!」」
思わず関西弁でつっこみをしてしまったロックオンとティエリアだった。
初めまして。こんにちは、皆さん。
今日はオレが働いているファミリーについてお伝えしたいと思います。
『ボンゴレ下っぱ日記 ~嵐&雨編~』
オレはかの有名なファミリー『ボンゴレファミリー』で働いています
日本やイタリアだけでは無く、世界的にも有名なファミリーで働けるだなんて光栄です!!
…………まぁ、まだまだ下っぱも下っぱなんですけどね…
書類運んだり整理したりといった雑用しかしてません
けど、いつかはオレも幹部の皆様方みたいにボスを助けるような仕事をしたいと思います。あれ、作文?
ととと、そんなこと言っている間に、仕事ができてしまいました
この山のような書類を第2棟の端まで持っていかなければなりません
今オレがいるのは第4棟だから……結構離れているなぁ
でも、これが仕事だし頑張るか!!
大量の書類を持ってオレは歩きます
第2棟と言ったら、ボスの右腕の獄寺さんの執務室がある棟です
さすがに下っぱのオレが獄寺さんの執務室に近づくだなんてことはできません…できるはずがないですよ!!!
獄寺さんは1度だけちらりと見たことがあるのですが……なんというか、綺麗な方でした
大人っぽくて落ち着いていて、ボスの右腕というに相応しい雰囲気を備えているのです
日本人が多い中の銀髪はとても綺麗で、日の光に当たっている様子を見た時は本当に光り輝いて見えました
あんな、天使のように綺麗な方がこの世に存在するだなんて……あっ、つ、着きました!!この部屋です。
この書庫に書類を整理してなおせば良いので……
…………あれ?
何か聞こえる?
部屋の中……ですよね?
そうそう人も来ないはずのはずれの部屋なのに………
まままままままさかっ!!!!
敵マフィアとか!?
どどどどどどどどどどどどうしよう!!!!!
どどどどうすればっ!!!!
オレはリングは持ってないし、武器だって持ってない
あ、書類が武器に………ってなるかい!!!!
しまった、1人ボケ1人つっこみをしている場合じゃないんだって!!
どうする、どうするよ……
幹部とか上の人を呼んでくるべき…なんだよな?
とととととりあえず、何人くらいはいるか……調べた方がいいよな、うん
……………死にたくないけど
うん、死にたくない
そぉっと………そぉっと、隙間から覗いて、中に何人くらい敵がいるか……
そぉっと………そぉっと………
気配消すとかできないけど、静かにしてれば……
……………………
……………………………………
………………………………………………………
え?
いや、え、あの、ちょ…………
バタン!!!!!
オレはドアを閉めた
というか閉めるしかできなかった
だだだだだだだって…………だって!!!
そ、その…………部屋の中、で………
あ、あれって………獄寺さん………だよな?だよね?
っ…………獄寺、さん………だったはず………
もう1人は見えなかったけど……ま、まぁ……そういうことをしていたわけで…そういうことって何だよだなんて思っても聞かないでくれお願いだからオレには何も聞かないでくれ!!!!!!
「ん?どうしたんだ、こんなトコで?」
へ?こ、この声は…
「山本さん!?」
「よっ!!」
なななななな何てことでしょう!!
あの山本さんがっ、ボンゴレ最強の二大剣士の1人として名高い山本さんが声をかけてくださった!?
山本さんもボスの右腕と呼べるほど幹部の中でも重鎮だっていうのに、オレ達のような下っぱにも声をかけてくださる
一緒に飲みに行こうと誘われたことだってあるんだ
恐れ多くて断ろうとしたけど、……その、天然さというか能天気さ………ち、ちがっ、別にそう思っていることじゃなくて
そ、そうだ、天真爛漫さでオレ達とも上司部下の垣根無く接してくれる
強くてカッコよくて、それでいてそれを主張しない
幹部の中でもたくさんしゃべったことがあるのは山本さんだけなんだよな、オレ
「こんな隅で百面相して、何してたんだ?」
「百面相?」
「あぁ。赤くなったり青くなったり、なんか見てて面白かったぜ」
わわわわわわわっ!!!
みみみみ見られていただなんてっ………
「おっ、これ書類か?いつもご苦労だな」
「そそそそんな、恐れ多いです!!」
「中に運べばいいんだろ?」
あっ、はい、中に………
な、中!?
「ややややや山本さん!!!」
ん?といつもの笑顔で振り向いてくれるのは嬉しいんですが
というか持たなくていいですって、その書類!!
じゃなくてっ
「あ、その………その、」
「どうした?」
「い、いえ………あの………」
な、中に、中では……
「ん~~~、タイミングがあるとか、か?じゃあ、お前に頼んでいいか?」
「ももももちろんです!!というか、元々オレの仕事なので!!!」
「はははっ、じゃあ頼んだぜ。」
そう言って、オレに書類も渡してくれて、山本さんは背中を向けて歩き出す
「あ、そうだ。お前に言いたいことあったんだ」
と、そう言い、突然立ち止まる。こっちを振り向く。
どうしたんだろ?オレに言いたいこと?
山本さんが、オレに!?
「なななななんでしょうか!!!」
「そんなどもらなくてイイって。1つだけ、ちょっと言いたくてな。」
「なんなりとおっしゃってください!!!!!」
「さっきの獄寺見て、欲情なんかしたら…………殺すぜ?」
ハイ?
「それだけ。じゃあな~」
ひらひらと手を振って、歩いていく
えっと…………あのぉ………
体が動かなくいんですけど………
殺気で完全に体が固まってるんですけど………
というか
え?
えぇ?
今のって、えっ、つ、つまり………
さっきの………ご、獄寺さんと………そ、そうしてたのは………
拝啓、母さんへ
オレはボンゴレで頑張ってます。
いろいろと大変だけど、ガンバリタイと思います。
おはよう!!
朝、いつものようにそう声をかける
オレの声に気付いて振り向いた時の顔が見たくて、オレが近付くのを待ってくれてる顔が見たくて
オレはあえて遠くから声をかける
「おい、てめぇ………今日は月1の全校朝礼だぞ」
「そうなのな」
「朝礼はネクタイ必須だろが」
「あ~……」
ポリポリと頭をかく
オレの首もとにはネクタイは無い
けどネクタイを忘れたわけじゃないことを示すために、オレはソレを出し
「結んでくれね?」
そう言うと、一瞬「またかよ…」とでも言いたげな顔をした
そして溜め息をつき、仕方無しにとネクタイを手に取ってくれる
なんやかんや言いながらも結構世話焼きなんだよな~
それをわかってるから、やってくれるのをわかってるから
オレはネクタイは結んで来ない
「おらよ、出来たぜ」
「サンキュ!!」
「てめぇ……いつまで経っても出来ないようじゃ、この先どうすんだよ」
「とは言われても………なんかこういうの、苦手なのな」
「けっ!大人になってから苦労してもしらねぇぜ。横にいるからってオレはしてやらねぇからな」
そう言い切り先へと進む
………無自覚って恐いのな
『横にいるからってオレはしてやらねぇからな』
つまりは…
大人になってからも横に、傍にいてくれるってことだよな?
本心ではそう思ってくれてるって、思ってもいい…のか?
「おい、何にやけた顔してんだ野球バカ!!早く十代目の家に行くぞ!!」
「あぁ!!」
先のことはまだわからねぇけど
1年後も5年後も10年後も
一緒にいれたらいいのな
例えば。
好きな人の事を全部知りたいと思うのは。
贅沢なことなんだろうか。
俺は、獄寺のことを誰よりも一番知ってると思ってた。
学校にいるときも、マフィアごっこのときも。
ずっと、獄寺のことを見てきたから。
授業中の何気ない仕草。
お気に入りの昼寝場所。
いつも持ってる花火を手入れしているときの真剣さとか、
髪をかきあげるときの癖。
つけてるアクセサリーの種類も、ほとんど覚えてしまった。
だから、俺は誰よりも獄寺のことを知っているんだって。
そう、思って、自惚れて。
そして、愕然としたんだ。
俺は、実は獄寺のことを何も知らないんだって事を、
思い知らされたときに。
どうして、獄寺はあんなに頑ななのか、とか。
どうして、獄寺はビアンキさんを見ると倒れるのか、とか。
どうして、獄寺はツナのことを10代目って呼ぶのか、とか。
どうして、獄寺は勉強が出来るのか、とか。
どうして、獄寺は煙草を吸っているのか、とか。
どうして、獄寺はピアノが弾けるのか、とか。
どうして、どうして…
気付けば、いくらでも出てくる疑問。
俺が見ていたのは、獄寺の外側だけ。
獄寺の中身は、全然知らないんだ。
だって、獄寺は、俺に何も話してくれない。
ツナには話しても、俺には何も話してくれない。
みんな、獄寺のことを知っているのに、
俺が、俺だけが何も知らない。
知りたい。
獄寺の中身を、全部。
なぁ、獄寺。
獄寺の中身は、何で出来てる?
教えてくれよ…
でも。
例えば、獄寺がそれを教えてくれたとして
俺が獄寺の中身を全部知って
獄寺の外側を全部知った時に
俺は、どうするんだろう。
どうなるんだろう。
どう、したいんだろう。
獄寺を。
そう考えると
何故か
とても怖かった。
「カシスパイン」
「ライチパイン」
「ヨーグリートパイン」
「パイン酎ハイ」
横に座る雲雀さんが頼むのは『パイン』に関するお酒ばかりだった
最初の1杯はビールかなと思ったのに、ドリンク用のメニューを見るなり頼んだのは『カシスパイン』。どうやらカシスのリキュールをパインジュースで割ったモノらしい。カシスオレンジのパインverだと考えてもいいみたい。
「………何?」
じっと見ていたからか、雲雀さんはこちらを向いてきた。少し睨まれてる気がするけど、それを受け流せれるようにはオレだって成長してる。例え見た目は10年前とほとんど変わらな……って、そういうことは関係無いな。
「いや………何でパインのお酒ばっかり選ぶのかなぁ…と」
ごまかしたって意味が無いし、むしろ直球で聞かなきゃ教えてくれないだろう。この人はそういう人だ。だから率直に聞いてみた。
「別に」
…………この人はそういう人だった。素直に聞いたからといって教えてくれる人なんかじゃない。さすが雲の守護者、さすが何者にも捕われることの無い孤高の浮雲。
ん~……でも気になるし……
「もしかして、む」
『む』の言葉を言った瞬間、オレの顔の前をすごい勢いでトンファーが横切った。無意識の反射神経のおかげでオレは顔を引いていたからケガはしてない。
「あんなヤツの名前、出さないでくれない?」
一文字しか言ってないのによくわかったなぁ、と。そう思うけど声に出したら殺される気がするのは多分気のせいじゃない。
「関係無いから」
そう言いながら、やはり雲雀さんが飲むのはパインジュース。
『関係無い』、か
最近、骸は海外での仕事が多くて、滅多に本部に帰ってこないからね
全く、素直じゃないなぁ…
「何にやけてるの?」
「別に。何でもありません」
「気色悪い」
「じゃあ理由教えてくださいよ」
そう言うと、雲雀さんは苦虫を噛み潰したような顔をした。そ、それほどまでにイヤなの?だけど、まぁ一応オレはボスなわけで…
「ボス命令」
この一言は結構利く
「………コレ飲んでると…」
「うんうん」
「………………アイツを、六道骸を………」
「かみ殺してる気になれるんだよね」
…………………あれ?
「最近獄寺が冷たい」
突然、山本がそう言った。
いや、別に言うのは全然構わないんだけど……オレの部屋でまだまだ残ってる春休みの宿題を2人で必死に解いてる最中に言われるのは……ちょっと困る。よく見たら山本、さっきから全然解いて無い………よね?そんなこと言ったらオレだって解いて、じゃない解けてないけどさ…。解いてることは解いてるんだけど全然わかんなくって………
「冷たいのな……」
「あ、あのね、山本……」
声をかけたはいいものの、オレの声、届いてるんだろうか…。テーブルの上にノートを広げて、その上に倒れこんでごろごろしてるだけ……だし、多分、なんとなく、きっと、オレの声は届いていない気がする。超直感とかそんなの関係無しでわかるよ……
「冷たいって……話しかけても返事くれないってこと?」
「………返事はくれる……」
時もある、とそう続ける。別に話さないってわけじゃなさそうだけど……じゃあ何なんだろ?
「オレがさ……」
「うん」
「獄寺の体に触ろうとしたら嫌がられるんだ」
…………はぃ?
「手握ったり、肩抱いたり、髪の毛わしゃわしゃしたり後ろから抱き付いたりするのって普通だろ?」
なんかいろいろつっこみたい所があるんだけど
とりあえずこれだけは言いたい
「山本……」
「ん?」
「それ、普通じゃ「やっぱ普通だよな!!」
普通じゃないってば!!!オレの話聞いてよ山本!!
「やっぱマズかったのかなぁ……」
「……………何が?」
聞きたくないけど聞かなきゃならない気がするんだけどやっぱり聞かない方がイイ気もしなくはな…
「無理矢理襲ったこと」
え?
「いやさぁ、この間獄寺の部屋で2人でいた時、獄寺見てたらどうもムラムラしてな。で、そのまま押し倒して襲ったんだけど…」
「それが原因だって気付けぇぇぇっ!!!!」
拝啓 獄寺くんへ
山本とは絶対に2人きりにならないでね
ボンゴレ10代目として部下への初めての命令であった
とある国の
とある街
そこにソレスタ学園と呼ばれる学校がある。創立50年と結構経っているにも関わらず最新鋭の設備の整っているその学校に、今、波乱が訪れようとしていた…
ガラッ
教室のドアを開け、騒がしい中へと女性が入ってくる。
「ほら、皆。静かにしてちょうだい」
カツカツとヒールの音を立てながら、豊満な胸を主張するような服を着た長い茶髪の女性が教卓の前へと立つ。
「どうしたんだ、スメラギ先生?」
肩に届くくらいのパーマがかった茶髪の少年、ロックオンは振り返りながらその女性、スメラギへと声をかける。
「何をしているロックオン!!ちゃんと前を向いて座るべきだ!!」
ビシっとロックオンを指差しながら怒るのはティエリア。肩までで切り揃えた紫色の髪の、まるで女子かと思えるほどの美貌の眼鏡少年はこのクラスの学級委員を務めている。そのためかそれとも性格故か、規律を乱す者には厳しいのだ。
「ティ、ティエリア、人を指差しちゃいけないよ」
弱々しい声で右目を長いで隠した少年がそう言うが、当の本人は注意を叫ぶばかりで聞く耳持たずである。前を向けと叫び続けるティエリアに、はいはいと適当に相槌を打つ。他のクラスメイトは騒ぎに巻き込まれないようにと、それを見ているだけである。
「ロックオン、前を向きなさい。」
真面目過ぎるティエリアをからかってそんなことをしているのをスメラギは気づいている。そのためかそうでないのか、担任にそう言われロックオンはちゃんと前を向いた。
「今から朝のHRを始め…………る、その前に」
スメラギは顔を上げ、担当するクラスの生徒達の顔を見る。
「転校生を紹介します」
そう言うと、クラス中が沸き上がった。
今は5月、ようやく新しいクラスにも慣れてきてGWも過ぎて、若者にとっては新しい刺激が欲しくなる頃なのである。何故こんな時期に転校生が?と思う者もいるが、親の都合で4月に間に合わなかったとかそういう理由だろう。
喜ぶ生徒達を見て微笑み、スメラギはようやくドアへと視線を向ける。すると、ドアから入ってきたのは1人の少年だった。彼は集まる視線を受けながら教卓の横へと立つ。それに合わせるかのようにスメラギは黒板に白いチョークで字を書いていった。
「刹那・F・セイエイくんよ」
少年、刹那は前の学校の制服だろう、この学校の制服であるブレザーではなく学ランを着ている。癖っ毛の黒い髪に大きな赤い瞳に少し低めの背丈のせいか、同い年であるはずなのに少し幼く見える。
「刹那くんは今まで外国の学校にいたから、あまりこの国のことを知らないみたいなの。皆、いろいろ教えてあげてね」
じゃあ刹那くんの席は…とスメラギは教室中を見渡す。空いている席は1つしか無く、彼の席はそこで決まりだ。
「マリナの横が空いてるわね」
すると名を呼ばれた少女はすっと手を上げた。そして刹那は彼女の手を目印にして教室の中を進んでいく。皆からの視線を浴びながら刹那は与えられた席につく。すると先程手を上げた少女が笑顔で刹那に手を差し出してきた。
「マリナ・イスマイールです。よろしくお願いします」
「……刹那・F・セイエイだ」
そう言い、刹那もまた手を差し出した。
突然の転校生である刹那
これから学園に訪れる様々な惨劇を
彼はまだ知らない
そして
私も知らない。
といっても、もう桜は散ってしまった。
10代目と一緒にお花見をしたのも2週間も前の話だ。
散ってしまった桜は寂しいもので、窓の外から見える校庭も、やや哀愁を漂わせている。
「あー、つまんね。」
教室で椅子を傾けながら、俺は呟いた。
時間は昼休み。
一緒にご飯を食べようと言った10代目は、購買に出かけている。
俺が代わりに行くことはもちろん進言したのだが、今日はすっぱりと断られてしまった。
なので、10代目が帰ってくるまで、教室で待っているのだった。
山本と、一緒に。
「獄寺、それ危なくないか?」
なんて、椅子を傾けていることを注意してくる山本。
しかしこいつの言うことなんて全く聞く気はないので、そのまま椅子は傾けたまま、俺は危ういバランスをひっそりと楽しんでいた。
山本は、俺の机の前に座り(もちろん、前の席の奴には断ってあるのだが)、腕を机に突っ伏した状態で、俺のことをじっと見つめていた。
だが俺は、その視線に気付いていないかのような素振りで、教室の天井を見上げていた。
「あー、つまんね。」
同じ言葉を、繰り返す。
何気ない毎日。
何の刺激も無い、毎日。
いや、おそらく普通の中学生とは比べ物にならないくらい騒がしい毎日だと自覚してはいるが、その騒がしい出来事も、毎日続けばつまらないことに変わりは無い。
「あー、マジでつまんねぇ。」
何度目になるか分からない言葉を吐いて、俺は傾けていた椅子の四肢を床に下ろした。
がたんという音に驚いたのか、山本が顔を上げる。
「獄寺ー、地震かと思ったのな。」
「うるせぇ。」
山本の言葉を一蹴すると、俺は廊下の方を見やった。
まだ10代目が帰ってくる気配はない。
教室では、既に昼食を終えたクラスメイトが次々に運動場へと走り出していく。
あるいは、会話に花を咲かせているか。
もう、桜は散っているのに。
「つまんねぇな、ほんとに。」
外の景色も、教室の様子も、このゆっくりとした時間も。
家を飛び出した後に比べれば、何もおもしろくもない、つまらない時間。
あの、死と隣り合わせにいるような感覚を、忘れてしまいそうで。
「獄寺、つまんねーって言いすぎだぜ?」
「つまんねぇもんはつまんねぇんだよ。」
「ふーん。そっか。」
そう言うと山本は、椅子から立ち上がった。
「ツナはまだ帰ってこないみたいだし、オレ、ちょっとトイレ行って来るわ。」
「おー、勝手にしろ。」
すたすたと教室を出て行く山本の背中にやる気無く手を振りながら、俺は再び天井に目を向けた。
「あー、つまんね。」
そして、再び同じ言葉を紡ぎだして。
「…なんてな。」
少し、ニヤッと笑顔。
つまらないなんて、嘘だ。
ただし、それは今日だけ。
つまらない毎日の中に、ひっそりと潜むスリリングな日。
今日は、特別な日だ。
「あいつ、忘れられてると思って凹んでやんの。」
教室を出て行く寂しそうな背中を思い出し、ひっそりと笑う。
今日は朝からそわそわしてるのはバレバレだ。
いつも以上にちょっかいを出してくるし、毎日購買に行くはずのあいつも「今日は腹壊しててさ」とか言って教室に残っていたり。
「トイレに行って泣いてたりしてな。」
なんて、一人寂しくしくしくと泣いているあいつの顔を想像したら、何だか楽しくなってきた。
「さー、どうすっかなー。」
準備は万端だ。
机の中には、『スモーキン・ボム』お手製のオリジナルボムが自らの出番を今か今かと待ちわびている。
そして、もう一つ。
教科書の間で息を潜めている、あいつへの“ ”。
どうしよう。
待ちきれなくて、心臓が今にも踊りだしそうだ。
「あ…」
そんな俺の耳に、感覚に、山本の近づく気配が。
もうすぐ、あいつが教室の扉を開ける。
その時俺は、お手製のボムを破裂させ、あいつ向かって机の中の“ ”を投げつけてやるんだ。
そして、最後に極上の一言を。
「そういやさぁ」
山本が何かを言い出す。
「ガムって、ずっと噛んでたらなくなるらしいぜ」
らしい、というのは本人も試したことが無いのだろう。ガムを噛み続けるのは結構大変だし、何よりも何故どうしてそうなるかは明らかになっていない。
「はぁ?てめぇ、証拠でもあんのかよ?」
「いんや、先輩から聞いただけだからな。」
「あ~、でも…」
頭上で交わされる会話に、頭の中でいろいろなことを思い出しながらツナは口を開く。
「クッキーとかチョコレートとか、そういうのと一緒に食べてると、なくなっちゃうらしいね」
「ま、マジっスか!?」
「かっぱえ●せんなら聞いたことあるぜ?」
「それ、オレは無いなぁ……試したことある?」
本当に一緒に食べたら消えるのか?だいたいこういったことは聞くばかりで試したことのある人はほとんどいないのが現実だ。だが、どうやら山本は試したことがあるらしい。結果本当に消えたかを聞くと、
「不思議なことによ、なくなったんだ」
「えぇ~~!!」
「マジかよ……」
本当らしい。途中までは口の中にあったのだが、気付けば口の中から無くなっていたとか。
「何でだ………酵素でも関係してんのか?」
「いや、獄寺くん、酵素は関係無いかと……」
「じゃあやはり、アミラーゼとガムの主成分が何らかの化学反応を…」
構造式がどうだの分子がどうだのぶつぶつぶつと呟き始める
「はははっ、獄寺って面白いよな~」
「というか、そこまで真剣に考えなくてもいいと思う……」
そんな2人の呟きは獄寺には聞こえ無かった