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「お前に、俺の気持ちが分かるわけねぇだろ!」


始めは、些細なことだった。


「獄寺! 待てって!」


どうして、こうなったのかは分からない。


「離しやがれ! お前の顔なんて、もう見たくもねぇよ!」


でも、もう俺は俺自身を止めることは出来なかった。

ただ、その場から逃げ出したかった。

それは、今の状況からか、山本からなのか。

それとも、自分の気持ちからなのか…

分からなかったけれど、ただ、逃げたかった。

その気持ちで精一杯だった。


「獄寺! 危ねぇ!」


だから気付かなかった。

山本のその声にも。

そして、俺の前にぽっかりと広がった暗闇にも。















「………」

誰かの、声がする。

「…人……なさい…」

女の、声…?
聞いたことのある…誰だっけ…

「隼人! 起きなさい!」

耳元で聞こえた大声に、俺は飛び起きた。
目の前には、見覚えのありすぎる顔。

「姉貴…?」

「なにボサっとしてんのよ。早くしないと、学校に遅刻するわよ。」

まだ半覚醒な俺の頭に、容赦なく降りかかる目覚まし時計。
床に落っこちたそれを見れば、時刻は8時半。

「げっ! もうこんな時間じゃねぇか!」

俺の叫び声に何か言う姉貴の声が聞こえたが、そんなことを気にしている場合じゃなかった。
急いで着替えて、鞄を左手に、食卓においてあるトーストを口にくわえ、俺は学校へと向かった。






キーン…コーン…カーン…コーン…

予鈴が聞こえる。
ぎりぎり間に合った…そう思いながら、下駄箱で上履きに履き替える。
そして。

「よ!」

後ろから聞こえた声と共に、俺は思いっきりすっころんだ。

「おい、大丈夫か、獄寺!」

支えられながら足元を見れば、何のことはない、見事に靴紐を踏んでいた。
今度から紐靴はやめよう…

「ちくしょう…今日は一体なんなんだよ…」

寝坊するわ、転ぶわで、いいことなんて全くない。
いや。
そうでもないかもな…

「ははは。獄寺は今日もおもしろいのな。」

少しでも俺にそう思わせるのは、横で思いっきり俺のことを笑っている奴。
山本だ。

「笑うんじゃねぇ! …つーか、お前も寝坊かよ。」

「獄寺と一緒なのな~。」

「うるせぇ! そんなこと言ってっと…」


キーン…コーン…カーン…コーン…


聞こえる始業ベルの音。
同時に走りだす、俺と山本。

「ほら、てめぇの所為で遅刻したじゃねぇか!」

「ははは~、獄寺と一緒なら別に遅刻してもいいのな。」

「暢気なこと言ってんじゃねぇよ! 遅刻なんてしたら、10代目が―――」

「こら! 山本! 獄寺! もう授業始まってるぞ!」

俺の声を遮って聞こえるのは、担任の怒鳴り声。
ちくしょう、いつも教室に来るのが遅いのに、今日に限って時間きっかりに来るとかありえねぇだろ!

「見つかったのな~♪」

そして、隣の奴は相も変わらず暢気に笑ってやがる。

「だ~か~ら~、てめぇはなんでいつもそういう…」

「喋ってないで早く来い!」

またもや声を遮られ、流石に山本もヤバイと思ったのか、それ以降俺達は一言も喋らずに教室まで全力でダッシュした。
そして俺は、教室に入るなりまたもや見事にこけた。

「ちくしょう…一体、今日はなんだってんだよ…」

原因は、誰かが放置した雑巾だった。





昼休みが来た。
俺が一番楽しみにしている時間。
俺は一人、さっき買った焼きそばパンその他諸々を持って屋上に行く。
そして、来たるべき相手が来るのを、地面に寝転がって待っている。
空は青く、一般的に言うところのいい天気だった。
とても気持ちがいい。

「あーちくしょう…また昼から授業かぁ…」

学校の授業なんて、俺には退屈な時間でしかない。
聞いてなくても内容はわかるんだし、真面目に聞いたところで眠くなるだけだ。
なら聞かないほうがいいに決まってる。
ゆえに、本来ならば日本語が並ぶはずの俺のノートには、おそらく誰も理解できないであろう文字が並んでいる。
俺だけが知る文字。
それというのも、俺が何を書いているのか理解されない為であって、別にそれ以外の理由は無く。
書いてる内容といわれても、大したことはない。
ちょっとした日記のようなものだ。
日々の、ちょっとした出来事をつづっていくだけ。
読み返しては、「ああ、こんなこともあったなぁ」と懐かしく思うだけ。
とりあえず、今日は朝の出来事を鮮明につづっておいた。
あれほど不運なことも、そうそうないだろうし。

「後で読んだら、おもしろそうだからな。」

自分のこととはいえ、済んだことだ。
特に何か思うことはない。
笑い話として、後の話題になるくらいしか使い道はない。
そう、あんな間抜けな姿、10代目にでも見られたら―――

「ごーくっでらっ♪」

突然、視界から青色が消える。
そして、朝の俺に負けず劣らずな間抜けな顔。

「待ったか?」

いつもの、何も考えてねぇような笑顔。

「てめぇは、いつもいつも遅ぇんだよっ!」

起き上がり様、思いっきりその頭に頭突きを食らわす。
ひっくり返った山本を放置して、俺は立ち上がった。
どうやら、俺の方が石頭らしい。
山本はしばらくの間、頭を押さえていた。

「獄寺はひどいのな。」

「てめぇが遅いからだろ。自業自得だ。」

「獄寺が早いだけなのな。俺は悪くない。」

「そんなことを言う口はどの口だ、あぁ?」

腰に手をあて、威張っている山本の両頬を思いっきりつねってやる。
それでも少し涙ぐみながらも、山本は笑っていた。
そんな様子を見てると、なんだかこっちが本当に悪いような気がしてきて、さっと手を離す。
そして、その場に座り込んだ。

「今日は焼きそばパンなのか?」

同じように隣に座った山本が言う。
見ればわかることなので、特に返事はしない。

「俺も焼きそばパンなのな♪」

人が食べている横で、それと同じものを取り出す山本。
何がそんなに嬉しいのか、満面の笑みを浮かべて、俺と同じものを食べる。
そうして、互いに無言で焼きそばパンを食べ続け。
なぜか山本の方が早くに食べ終わり。
小さく、呟いた。

「…獄寺。」

返事は、しなかった。

「俺、今、すっごく幸せだ。」

返事は、できなかった。

「こうして、獄寺と一緒に登校して、授業受けて、焼きそばパン食って。」

焼きそばパンが、なくなった。

「毎日がゆっくり過ぎていくのが、凄く嬉しい。」

山本の顔は、見れない。

「いつまでも、ずっと、このままだったらいいのにな。」

山本が、笑顔で、言った。

「…ああ、そうだな。」

だから俺も、本当に小さな声で呟いた。

「すげぇ、幸せだ。」






どちらからというわけでもなく交わしたキスは、とても香ばしい味がした。






「焼きそばパンの味しかしねぇ…」

「ははは。仕方ないだろ、焼きそばパン食ったんだから。」

「ま、昼ごはんにはちょうどいいか。」

「そうだな。」






こんなふうに、たわいもない会話で過ぎていく時間が、

たまらなく、愛おしかった。

本当に、今まで生きてきた中で、一番幸せな時間だった。

そしてそれは、これから先も、きっと……








to be continued... (後編へ続く)






こんにちわ、久しぶりに「もち」が出現です。
本当は別の話を書くつもりだったのに、何故に山獄。
自分でもさっぱり分かりません。
どこからネタが出てきたのかすら不明です…

ここ数日、リボーンにあまり触れてないはずなんですが…


触れてないからですかね…?(???)


とまぁ、そんなことはさておき。
長くなりそうなんで、すっぱり切りました。
あと、「もち」自身の気力が持ちません(シャレじゃないよ!←自分で言うな)
一応、ここまでで起承転結の「起」と「承」が終わりました。
後編は「転」「結」です。
というか、「起」がこのままではあまりにも意味不明ですが、まぁ、その辺については「結」で分かる予定です。


…あと、非常にこっぱずかしいですね。


ひさしぶりにデレデレな話書いて、全身寒い。
こんな程度じゃ…とか言われそうですが、基本シリアスとか暗い話ばっかり書いてる私にとってはこれはデレデレです。
精一杯です。
見直しするたびに最後何度直そうと思ったことか。
最初ちゅーなんてしてなかったのに!(あとで加えた)



あー、さぶっ。



デレデレな話、読むのは好きだけど、やっぱり私には書けない…
普通にデレデレな話書ける人、マジで尊敬します…


ではでは、また続きで。
いい加減、初代日本へ旅立つ、的な話も書かないとなー。

なのな~(これは山本)



後書きまで長くてごめんなさいorz

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