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アジア連載始動!
にーにーとヨンスの出会い前編です
「ねぇねぇ菊兄様?にーにどこに行ったか知ってる?お客様がお見えになられたのだけれど…」
「………えと、その………」
冷や汗をかきながらちらりと見る先。いつもなら優雅に主を乗せているその椅子には、可愛らしいパンダのぬいぐるみが置かれていた。
大陸東部は海から山に至るまで様々な地形が広がっている。内陸に進むにつれ数千メートル級の山々がそびえ立っており、ここ四川と呼ばれる地域もまた標高3千メートルの高さを持っていた。
「えらく霧が濃いあるな……」
数メートル先すら見えないほどの濃い霧。そこに1人で歩く青年がいた。高山を歩いているにも関わらずあまり荷物を持っておらず、その様子はまるで近所の公園に来ているようである。
「本当にこんな所に村なんかあるか?」こうも視界が悪いと村など見つけられない。しかし青年はその村に行かなければならない事情があった。その事情のため、誰にも任せず1人で来たのだ。
「何も土産無しだと……菊はともかく湾や泰がうるさそうあるな」
行き先を伝えたのは菊だけだ。他の者に伝えたならば確実に反対されるから。いや、菊にも盛大に反対されたが、それはそれと年の功で押し勝ってきた。わざと聞こえるような深い溜め息がまだ耳に残っている。最近そういう陰湿さを覚えてきているようだ。一体誰が教えた?
「…ん?」
視界の端に微かに色が見られた。山々の間に立ち込める霧はによって、今までは白黒の世界だった。そんな世界に色が見られるということは…
「見つけたある」
霧の中に佇む小さな村、ようやくそれを見つけることが出来た。
村に足を踏み入れる。予想通りそこは閑散としていた。あまり交流の少ない村などこういうものだろう。人1人見つけることが出来ぬまま青年は歩みを続ける。
視線が……4つ、いやまだ増えている
姿は見えないが、明らかに誰かに見られていた。この村の者だろうか?殺気は混じっていない。閑散とした村に余所者が通りを歩いているとなると注目を浴びるのは当然だ。
しかし、注がれていた視線はすぐに動いた。青年ではなくその後方を見ている。何かあるのだろうか?そう思い振り返ろうとした瞬間だった。
「何やってるんだぜ!!!」
急に腕を引っ張られ、青年は目を見開き驚いた。そしてすぐに家の中へと連れ込まれてしまった。
「なっ、何するあるか!!」
「しっ!静かにするんだぜ」
灯もつけず薄暗い部屋でその者は人差し指を立て、喋るなと表す。失礼甚だしい輩に従おうとは思わなかったが、外の気配を感じ、青年は身を潜めた。
壁の隙間から外を見る。先ほど青年が歩いていた大通りに、何人もの人を引き連れて堂々と通る者がいた。担がれた神輿に我が物顔で座り、悠々自適に辺りを見下している。明らかに周りとは逸した華美な服装、
「アイツは…この村の役人なんだぜ」
聞いてもいないのに隣にいる者は話し始めた。
「あのオッサンは何年か前にこの村に来たんだぜ。それからずっと、俺達に高い税を払えってうるさいんだぜ…」
少年のそこまでの説明で青年は理解した。
今通りを歩いている者は最近役人として赴任してきたが、村の民達に圧政を敷いているのだ、と。
どこにでもありそうな話だ。だがそれは実際に起こっているらしい。
役人の男が引き連れた集団が通りすぎると、隣の少年は大きく溜め息をついた。そして床へと座り込む。外の様子も少し探ってみたが、他も同様のようだ。安堵感があちこちから感じられ、先ほどまでほとんど無かった生気が多少なりと感じられるようになった。
「今日は何もされなくて助かったんだぜ…」
「今日は?」
「大体いつもなら、税が払えない人をみんなの前で痛めつけたり、勝手に家壊したり……」
見せしめと暴力は民を支配するのに最適だ。圧政を強いているとなればそれらは日常茶飯事か…
部屋に灯がつく。先ほどの暗さでも青年は十分室内を把握していた。狭くこじんまりとした家。壁のあちこちはぼろぼろで隙間風が入ってくる。簡素な台所にベッドにテーブル、あるのはそれだけだ。
少年はしゃがみこんだままの青年に手を差し出し、にかっと笑う。
「俺はヨンスなんだぜ!!よろしくなんだぜ坊主!!」
「誰が坊主あるか!!!」
青年は大声で叫んだ
……………………………
プロットを頭の中で練っていましたが、今回はこのシリーズにしては珍しく明るめの話になりそうです
うん、ヨンスのせいだ。俺は悪くぬぇ!!!
そんなわけで、にーにとヨンスの出会い編です。思ってた以上に長くなりそうで……切りました。あれ?(滝汗)
えび
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