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フランシス過去編です。

コレの続き。




【進路調査書】

そう書かれた薄い1枚のプリントをかざす。先ほどのHRの終わり際に担任から配られたものだ。もう卒業後の進路に考えなければならない時期だということを暗に示している。実際、クラス中は受験やら就職やらでの話題で持ちきりだ。

「進路、ねぇ…」

周りに聞こえるか否か程度の声でフランシスは呟く。彼はこれでもボヌフォア家の者。次男坊であるため完全に跡継ぎでは無いが、自社の相応の役職に就くだろう。その下準備として傘下の会社に入社し、能力アップ後本社へ配属、後に役員へ。もしくは秘書辺りか?道など予想出来る。
兄と違って完全には決まっていないが、大体こんな感じなのだろう。そう思うと、周りの者たちが少しうらやましく感じる時もある。先の見えない未来をあれやこれやと予想し、希望を持つ。これになりたい、ここに行きたい。そんなこと、彼は言えるはずが無い。
ぬっとプリント越しに顔が現れる。見慣れ過ぎた幼なじみだ。
「何だよ、とは何よ」
「いやいや、言ってねぇから」
「顔が言ってるわよ」
完全に顔に出ていたとは。で?とフランシスは彼女に話を促す。何か話があるからここに来たのだろう。
「ねぇ、フランシス。貴方は進路どうするの?」
「どうするってもなぁ………」
名のある大学に適当に入れば良いのだろう。こう見えても大抵の大学試験にパス出来るほどの実力は備えている。ふ~~んと応えるジャンヌに逆に彼も問う。
「お前はどうするんだ?」
この2人は文字通りずっと一緒だった。同じ学校だけではなくクラスも。だがさすがにこれから先は異なるだろう。目指す先が違うから。
「ずっと言ってたように、私は人の役に立つ仕事がしたいわ」
ずっとずっと彼女はそう言っていた。人の、誰かの役にたちたいと。その理由ももちろんフランシスは知っていた。
「やっぱ、その力のためか?」
優しく微笑む。

彼女、ジャンヌには昔から不思議な力があった。人の傷を癒すことの出来る治癒の力。小さな切り傷程度なら、手をかざすだけで一瞬で治すことが出来た。命に関わるような傷はさすがに一瞬で完治は無理だが、それでも命が助かるレベルにまで治すことが出来る。
彼女の家系にそのような力を持っている者がいたのかと言えばそうでは無い。彼女の両親も祖父母も、そんな力など無い一般人だ。彼女にのみ与えられたその治癒の力。神から与えられたのだと、一時期騒がれたこともある。
「じゃあ看護学校とか?」
「そんな所に入っても、実際に現場に出るのはまだまだ先じゃない。」
私は今、すぐにでも皆を助けたいの!
そう宣言する彼女の目は真剣そのもの。今は学生の身であるため親から反対されている。だが、卒業すれば別だ。彼女は貧困地域に自ら出向き、身を惜しまず人々に尽くすのだろう。
「正義の使者、か?」
「あら、近いわ、それ」
フランシスは顔を上げる。
「この世界を救うために、弱い者に手を差し伸べる………名前くらいは聞いたことあるはずよ」


「GPI」




「そこに所属することが決まったわ」







眩しいくらいの笑顔でそう言う彼女を見て



ズキンっ…




何故か胸が痛んだ






…………………………

フランシス過去編続きです。続いてます、まだまだあります(笑)


ジャンヌの治癒の力に関しては最初から決めていました
気を与えて治療する…みたいなものです。
フランシスとジャンヌは、生まれてこの方ずっと一緒にいます。だからジャンヌの力のことも知っているわけです。
というか、家族とフランシスしか知らないのですが。


さぁ、何故胸が痛んだんでしょうねぇ~
次回、フランシスの兄が登場します。


えび
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